【横山験也のちょっと一休み】№.3413

今日も算数に関する古本が届きました。
先日購入した『算術教科書』をちょっと易しくしたような本です。
易しくと言っても書いてあることは『算術教科書』とまったく同じです。違うのは一部が省略されていることと大事な言葉にはフリガナが振ってあることです。特に初めの方はフリガナだらけです。
この振り仮名ですが私のような算数ファンには非常に価値が高いです。「当時はどう読んでいたのか」と思う漢字が時たま出てくるからです。

「2と1/3」のような帯分数の読み方が戦前の本には載っています。「二個三分の一」という具合に。
今は「二と三分の一」と読むので、「個」を「と」と読むのかなと思う人もいるかもしれませんが、戦前は「二か三分の一」と「か」と言っていました。
これについては私の母がそのように言っていたのでよく覚えています。

「か」と読むことは知ってはいても、それが古書に「二個三分の一」と記されていると、この「個」の読みは本当に「か」でよいのかと思いが揺らぎます。もしかしたら、「二こ」と言っていたかもしれないと勝手に思ってしまいます。

そこに振り仮名が振ってあれば何の疑いも無く読みを知ることができます。
今日届いた古書には「個」の上に「か」と振ってありました。
これで帯分数の整数部分と分数部分とを結ぶ言葉が「か」であることの確からしさが、「母の記憶+古書」となり、しかもその古書は藤澤利喜太郎の手による本なのでこれで確実となりました。

こういうちょっと自信が持てない漢字の読みが古書の振り仮名により明確になります。
良い本が届きました。仕事の合間に楽しみたいと思います。

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