2021年11月08日(月)22:05:54

「正方-形」か「正-方形」か。

【横山験也のちょっと一休み】№.3193

図形の名称は小学校の先生をしていたころから、不思議に思うことがありました。

非常に素朴な疑問が一つありました。「正方形」「長方形」の言葉として区切り目はどこになるのか、という疑問です。

A:「正方-形」「長方-形」なのか、
B:「正-方形」「長-方形」なのか。

一体どっちなのだろうかと思うことがありました。
常識的にはAの「正方-形」「長方-形」だろうと思えます。三角形だって、三角の形ということなので、「三角-形」と考えられるからです。念のために辞書を引くと、やはりAの「正方-形」「長方-形」が書かれています。
一般的にも辞書を引いてもAなのですから、文句なしでAとなります。
が、私にはどうもB「正-方形」「長-方形」と思えてなりません。

その理由の一つとして、「長方」という言葉が無いことが挙げられます。今の国語辞典と戦前の国語辞典を調べたのですが、「長方」は見出し語として出てきません。最後の抑えではありませんが、大漢和辞典で調べてみました。長の熟語として「長方」が出ていましたが、読み方が「ヲサカタ」でした。意味は常陸国の地名です。同じ漢字ですが意味が違っています。
「長方」という言葉が出てこない中、「長方-形」は無理があるように思います。

面白い発見もありました。戦前の国語辞典『辞苑』で調べたら、正方形が「正-方形」と載っていました。今の広辞苑は「正方-形」ですが、戦前は「正-方形」だったのです。これを見ると、方形の一種として正方形があるという意味が強くなります。
すると、正方形・長方形は、どちらも共に、方形の一種ととらえられます。
そこから、正方形も長方形も類型している言葉としてとらえたほうが算数的にはいいように思えてきます。
まず「形」があり、その仲間の一つとして「方-形」があり、その方形の仲間として「正-方形」「長-方形」があるという具合になり、漢字の間に包含関係が成立してきます。

長⊂方⊂形
正⊂方⊂形。

狭い言葉が先で、広い言葉が後。
こういう関係になっているととらえられるので、長方形や正方形をもし2つに分けるとしたら、「正-方形」「長-方形」になるなと今も思っています。

こういう疑問は何も載っていませんが、算数の授業が楽しくなるアイディアが下の2冊の本に、たくさん紹介されています。
この本に登場するネコちゃん、可愛いです。


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