【横山験也のちょっと一休み】№.3398

山本幹雄先生が発行してくれているメルマガ「ぼうけん」が届きました。
私の楽しみは、山本先生が毎回載せてくれている「今日は何の日」です。
今回は10月編で、社会の授業で使えるものが特集されていました。

富岡製糸場の操業開始は10月4日とか、サツマイモの青木昆陽が亡くなったのが10月12日など、「へー」と思えることがたくさん記されています。

その中で、特に注意を引いた記事がありました。

◆10月16日(1018年)藤原道長 望月の歌をよむ
→威子(いし)が皇后に立った時,祝いの宴席で歌をよむ。「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」どれだけ力を持ち,また得意の絶頂にいたかがわかる。


6年の社会、平安時代の有名人に関わる話です。
藤原道長が「望月の歌」を詠んだのが、「10月16日」となっています。
この16日と言うのは、陰暦です。今の太陽暦に変わったのは明治になってからですから、それ以前は非常に長い期間、陰暦でした。ですので、道長に限らず、当時の人たちは月の満ち欠けを見て、「今日は3日だな」とか、「今日は7日だ」と捉えていました。

陰暦では、1日はいつも新月です。月が見えません。
陰暦の3日はいつも三日月で、陰暦の15日は毎月満月となります。
満月の次の日は、「いざよい(十六夜)」とか「既望(すでに望月を過ぎた)」とか言われています。

この十六日が祝賀会だったので、この歌を道長が披露したとき、同席していた人たちはほぼ満月に近い月を見て、感服の思いをしたのだろうなと思います。

太陰暦は日本書紀を読んでいても、感じるところが出てきます。
新月にあたる1日のことを別名「朔(さく)」とか「朔日(さくじつ)」と言いますが、この「朔」が日本書紀に良く出てきます。
日本書紀は日記風に時系列で記されていて、月の第1日目には、「夏四月の壬寅(みづのえとら)朔(ついたち)甲辰(きのえたつ)」などと記されています。
月が改まると、まず、一日のことが記されているので、何度も同様の書き方を目にします。
次第に、「一日が新月」と理解が進み、間接的にですが陰暦を追体験している気持ちになます。

山本幹雄先生が見つけてきてくれる「今日は何の日」はとても面白いです。

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