【横山験也のちょっと一休み】№.2242

■戦前:文章問題を解くときの心得■
今回も、戦前の中学受験準備用の『基本算術書』からの話題です。
以下をお読みください。
文章問題を解くときの心得が書いてあります。

1、反復読み直すこと
2、何を問うのであるか 即ち答えは何を求むるのかを定ること
3、算法は何によるかを考えること

この3つは、基本3原則と呼んでも良いほど重要な事柄です。
これをしっかり意識できれば、力は向上します。

ただ、本当に残念なことは、教科書にはこういったことが書かれていません。
個々の問題を一つ一つ丁寧に考え、理解し、分かるようにしています。
ですので、文章を反復して読むなどと言ったことは、授業の中にすでに込められているので、取り立てて言うほどのことでもなくなっているのです。

戦前は、文章問題の種類が実に豊富に扱われていました。
でも、その大方は中学の方程式で解けるので、戦後、通過算や流水算など、どんどん姿を消しました。
ですので、あまり深刻に考えなくても、普通に読めば文章題は解けるはずとなっています。

ところが、目の前の子の中には、問題を読んでいないのではないかと思える子もでてきます。
そういう子が気になったら、1の繰り返し読む練習をすることです。
もちろん、黙読です。

昔から「大事!」ととらえられていたことは、軽視せずに、どうしてそれが重要なのかを考えると、思わぬ発見をすることもあります。
「温故知新、もって師となる」ですね。

話は変わりますが、「道徳読み」を授業で行っているクラスは、もしかしたら、文章問題の文意をとらえる力が少し向上するかもしれないと、思っています。
「道徳読み」では、結構長い文章に向き合います。
それと比べれば、わずか3行4行の算数の文章問題は、極めて短い文章となります。
子ども達に「文章は本気で!」と、本気になって読むように促すだけでも、かなりの違いが出るように思えています。

なにしろ、道徳読みは、文章に主体的に向き合います。
続ければ続ける程、文章に対する抵抗感が少なくなってきます。
もしかすると、教科書ぐらいは自力で読める子に育つかもしれません。
道徳心も高まり、学習の基礎である読みのできる子に育ったら、これは実に素晴らしいではありませんか。

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