8595_400クラウドをオープンしたことを,とても強く喜んでくれた先生に,福嶋顕勝先生がいます。
カメラの腕も一流なら,書道も一流。さらに,将棋も!

福嶋先生は地域にある将棋倶楽部でジュニアの指導員をされています。
ですので,福嶋先生とメールのやりとりをすると,「算数と将棋」というようなところでのやりとりが多くなります。

私も小学生の頃,将棋をやっていて,子どもの頃から,将棋と算数は強いつながりがあることを聞かされてきました。
それを自覚したのは証明する勉強を数学で学んでいたときです。「これって,将棋に似ている」と思ったのです。
「なぜならば」「ゆえに」という聞き慣れない言葉を使って証明していく記述式の勉強ですが,これが不思議と将棋に似ていると感じたのです。

将棋を始めたころ,目先の1手しか考えずにコマを動かしていた私に,父が見かねたのか,「3手先を読め」と,よく言っていました。「こう打ったら,相手がこう来るだろうから,そうしたらこうするんだ」と,それをいろいろ考えて,その中から次の1手を決めるんだと,教えてくれていました。
その3手先を読む感覚に証明問題が似ていると感じたのです。

また,父は「相手の持ち駒も見るように」と繰り返し教えてくれました。
盤上しか見ないほど,目先に燃えていた私だったのでしょう。何度も,相手の持ち駒のことを言われました。
この体験が,後々に,「オーッ!」という感動を招きました。それは,図形問題によく出てくる「補助線」が,相手の持ち駒に似ていると気づいたときです。
補助線はどこにあるのか,分かりません。ですから,相手が「補助線」というコマを持っているから,それをどこに打つか考えれば良いのだ・・・と,子ども心に思っていました。

これらは,将棋と算数との類似性なのですが,実際には,もっと深いところで将棋は私の算数を支えていました。
周囲の友達は,みんな証明問題が嫌いでした。面倒と感じているようでした。
でも,私は,証明問題はどんなに難しくても,嫌いにはならなかったのです。
それどころか,面白いと感じていました。
解ければ爽快になります。解けなくても「そういう手があったか」と,解答を知って感心させられていました。
将棋は,1局さす間に,何度も何度も3手5手と「先読み」を繰り返します。
うまくいくこともあれば,「読み間違え」もたくさんあります。
それを,楽しみながら,何局も何局も,連日行いました。
この膨大な量の「先読み」「読み間違え」が,証明や補助線などの思考を支える盤石な頭を作っていたのです。
面倒な証明を楽しいと感じる私にしてくれていたのです。

同様に,算数そのものを繰り返し繰り返し学ぶ事ができたら,直接的に算数・数学の盤石な頭づくりができます。
算数クラウドにアップされている1年生から6年生までのソフトを使って学べる子は,そういう頭に近づくのだろうと思っています。
福嶋先生からいただくメールを読むと,将棋のように,子ども達が食いつくソフトづくりだけでなく,上の学年の算数も学びたくなる場を作り上げねばと何度も感じました。それが,クラウドという形でオープンできました。こういう方向に私を向かわせる,示唆的なメール送ってくれる私の大事な友人,それが福嶋先生です。