小倉金之助先生の『明治時代の数学』です。

明治初期までは「和算の方が洋算より優れている!」との声も上がっていたのですが,それも束の間。
洋算は国策とも重なり,どんどん広がりました。

可哀想なのは,「和算vs洋算」を,和算側で戦い研究した人々です。
その努力と,和算家の持つ独創的思考を,洋算の普及・研究に向けていたら,世界の数学に日本から一石を投じる事もあり得たかもしれません。

産業革命が日本にも起こり,和算では役に立たなかったのです。全体の道が見えずに,和算の部分的な良さにこだわった研究家が,その力を生かすことなく,終わっていった時代です。

今は,言うまでもないデジタル産業革命の時代です。
算数の教育も,時代の流れに応じて変わっていくのが自然の流れです。
自分の能力が無駄にならないように研究・工夫・努力をすること。これが「歴史的な生き方」です。

昔の過渡期の本は,今,自分のいる立場が歴史的にどうなのかを考えるヒントになります。