この頃,良い本に良く出合っています。
この『扇 性と古代信仰』は面白いです。

小説のような書き方になっているので,「なんだか妙な本だな」と思いましたが,読み進めると,これが実に感動的です。
感動の一つは,吉野氏が退職をしてから研究して書いた本がこの本だと分かったことです。
退職をしたら静かな余生を・・・となりがちですが,「なぜ?」を追究する熱いハートがあると,専門書を書けるほどになるのです。
やっぱり,幾つになっても基本は同じです。
「熱いハート」と「フットワーク」と「読書」です。

もう一つの感動は,扇が性や神事と深い関わりがあるという吉野氏のひらめき,そのひらめきをどんどん証明していく痛快さがこの本にはあふれています。
現地での観察眼も素晴らしいですし,古典の読み方もとても勉強になりました。

こういったピンポイント専門書は,面白い物が多いですね。自分の興味の範囲では 「そろばん」と「箸」の本を読みましたが,両方とも得るところが多かったです。