算数や数学の本を読んでいると,ときどき,沖縄の昔の数について載っていることがあります。
  気にはなっていましたが,そういう本があるとは知らなかったので,これまで読む機会がありませんでした。

  本を読む面白さは,読みたい本・読むべき本が次々と本の中から登場してくる所にもあります。
  そういう箇所を見つけると,すぐに付箋紙を貼り,「本」と書いたり,書名を簡略に書いたりしています。
  この『琉球古来の数学と結縄及び記標文字』も,本を読むことで知った本です。

  勉強になったのは,藁(わら)などを使って数を記憶する方法です。すでに,知っている方法も載っていますが,私の知る限りは,他の算術本には出てこない希有な方法が示されていました。  
  こういう記録を残してくれた矢袋先生に感謝です。おかげで私までが貴重な沖縄の算数を知ることが出来ました。
  
  感謝の気持ちで読み進めていたら,終盤,驚くべき事実・考えが書かれていました。
  沖縄の昔の藁を使った算術は,残念ながら高度に発達しませんでした。その原因は生活がそれ以上の算術を必要としていなかったからです。なにしろ,ある島では明治初年までお金が使われていなかったのだそうです。また,その島には,紙が明治20年頃まで無かったとも書いてあります。文化生活との縁が遅れれば遅れるほど,文化の基盤をつくる算術が発達しないのです。
  ここから,ちょっと飛躍しますが,学力を高めるには生活の「文化前進」が大切と言うことになります。学校はコンピュータをどんどん導入しています。これは,それだけでもとても良い文化環境になっているのだと感じてきました。

  これの類書が神田の古本屋に並んでいます。26日に購入しようと思っています。
  算数から文化が見えてきて,ますます面白い世界だと感じ入っています。