【横山験也のちょっと一休み】№.2345

■ブラックボックスを持っていますか?■
大学生の頃のことです。
数学教育関係の雑誌を読んでいたら、ブラックボックス(暗箱)が載っていました。

この箱が面白いのです。
飛び切り面白いのです。
しかも、実に知的なのです。

何しろ、6と書いた紙をブラックボックスに入れると、
10になって出てくるのです。

続いて、12と書いた紙を入れると、
今度は、16になって出てきます。

6  → 10
12 → 16
という原因と結果から、ブラックボックス内でどんな処理がされたかを考えます。
そこから、「x+4」が導き出されます。

そんなようなことが書いてあり、非常に興味を持ちました。

それからしばらくして、中学校で数学の教育実習をしました。
実習生が指導案を書き、数学の先生方に見てもらうのですが、一人の指導案が関数の所でした。
すると、数学の先生が「そこを教えるなら、ブラックボックスを使うと良いよ」と言って、持ってきてくれたのです。

実際に使ってみると、これが本当に面白い!
箱にちょっとした仕掛けがあるだけなのですが、非常に知的な面白さがあります。
「関数はこういうことか!」ということが思いっきりよくわかりました。

ブラックボックスは極めて優れモノなのですが、難点がありました。
木製なのです。
私の読んだ教育雑誌には、その作り方が書いてありました。
読んだ瞬間、私はドン引きでした。
「これって、板を寸法通りに切って、釘打ちして、何やら色を塗って・・・」
学生だったこともあって、そんなにしてまで作りたいとは思いませんでした。

あれから30年近くたってから、山口の藤本先生が講座でブラックボックスを使っていました。
もちろん、大うけです。
講座後、若い先生方が箱の仕組みを知りたくて、藤本先生のまわりに集まるほどでした。

そこでもネックになっていたのが、木製ということでした。
自作するには、ハードルが高すぎました。

そこで、段ボールの組み立て式ブラックボックスをつくったら・・・ということになり、それが今はアマゾンで購入できるようになっています。
『わくわく☆ブラックボックス』です。

数学以外にも、他の教科でもいろいろと使うことができます。

算数を黒板で進める授業と、何らかの教材を持ち込む授業。
どっちかを選べと言われたら、私は迷わず教材を持ち込む方です。

ああ、一つ思い出しました。
とてもばかばかしい教具です。

6年生を担任していた時です。
算数は次の単元が「立体」でした。
三角柱や円錐などをならいます。
「すい」という言葉になじみがないだろうと思い、円錐を紙に書いて、円錐の中に「円すい」と大きく書いて、切り取り、裏にクリップを付け、ワイシャツのポケットに取り付けます。
それをジャケットなどで隠して授業をします。
その授業は、「立体」の一つ前の単元が終わる最後に近いころの授業です。

授業がそろそろ終わるころ、おもむろにジャケットの前を開いて、これを見なさいという雰囲気丸出しで、何気に机間を歩きます。
これで終わります。
子どもたちの強い視線を感じ、印象には残ったなと思いました。

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