b8060紀伊国屋に積まれていたこの本を見て,「読むしかないだろう」と思い,購入しました。
『道徳性の起源』です。
読み始めたのはいいのですが,話が分かりにくいです。
しかしながら,それを問題にしないほどの豊富な内容です。
「科学はここまで来たか」と驚きつつ読み進めた一冊です。
特に,後半は圧巻でした。

「子供は利己的な怪物であり,教師や親から学ぶことで,その生まれつきの性向に反して道徳的になると思われていた。気乗り薄の道徳家と見なされていた。私の見方はそれとは正反対だ。子供は生まれながらの道徳家で,生物学的な性質におおいに助けられている。」(p200)
こういった考えだけが記されているのではありません。この考え方を支える詳しい事例がたくさん載っています。その事例から導き出しているので,私はとても納得しています。
孟子は井戸に落ちそうな子を人は放っておけないところから性善説を唱えましたが,それを科学的に実証してしまったのがこの本と感じました。

「子供たちは間違っても科学だけは発達させないはずだ。何をどう調べてみても,科学にはほんの数千年の歴史しかなく,したがって人類の歴史の中では明らかにごく最近のものであるという結果になる。」(p272)
なるほど感がピークに達した所です。
算数の学習に「自然成長はあてにできない」と言っているように読めてきて,妙に力を得ました。
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