矢野健太郎先生の『数学物語』は、算数の周辺を楽しく散策できる本です。
書棚にあったので、久しぶりに読んでみたくなり、電車の中で読みました。
今回、おもしろかったのは、歴史的数学者の異名です。
「ギリシャ数学の開祖」 → ターレス
「比例の神様」 → ターレス
※日食を予言
「数学の神様」 → アリストテレス
「幾何学の神」 → アリストテレス
「解析幾何学の創始者」 → デカルト
デカルトのは異名とは言いがたいですね。
でも、私がデカルトファンなので入れておきました。
子供たちにも何か異名をつけてあげるのも、おもしろいです。
小学校5年生の時です。
家庭科の雑巾縫いの授業中、先生が私の縫い目を見て、「人間ミシン」と言ったのです。
自分の縫い方をそんな風に誉めてもらえるとは思ってもいなかったので、私の頭はしばらく縫い物中心になっていました。
その後、しばらくの間、先生から言われた言葉が天の声のようになってしまい、縫い物の時間になると、本気度200%ぐらいになっていました。
人間のやる気の動機は、こんなところにもあるのだろうと思います。
私のは単元だけの異名です。「単元異名」です。
ターレスのは2000年以上経っても言わる異名です。
本質的なところで大きな違いがあることは、否めません。
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ターレスは2600年も前に生まれた人です。
そのターレスは、常識と思われていたこと、例えば、二等辺三角形の底角は等しいということなどを、証明した人物でもあります。
「裏返すと、重なる」というのがその証明でした。
こんなのは、証明になるのだろうかと思えます。
そう思っても、反論するのは難しいです。
反論するには、ぴたりと重なった角度はそれぞれ大きさが違うことを証明しなければなりません。
これは、きついです。
ターレスの説明に誰でも、「そうだね」となります。
これが証明なのです。
証明をわかりやすく言うと、「だれが聞いてもなるほどそうだといえることを連ねて説明すること」です。
思い込みや感動、ファンのひいき目などは入る余地がありません。
そういう証明をあれこれしたのがターレスで、ターレスは世界で初めて証明をしたといわれています。
すごい人だったのだろうなと思います。
いい本を読み返せました。