千葉大学の大田先生の研究室におじゃましたとき,紹介してもらった1冊が,『アメリカ流 7歳からの微分積分』(ドナルド・コーエン)です。
正直なところ,この教え方は数学者でないと出来ない方法です。ですが,算数・数学の考える力をいっそう伸ばす考え方が,この本には記されています。
たとえば,次のように書いてあります。
「問題を解くには,パターンをまずさがしてみることです」
同様のことは,元筑波大付属小の正木孝昌先生も『算数の授業で教えてはいけないこと,教えなくてはいけないこと』で,「算数的な見方をどうのように教えるか」「きまりを見つける経験をさせる授業」と,記しています。
コーエン先生は,「何が起こっているか,どういう仕組みになっているか,理解をすることです」と続けています。
これが,「はじめに」に書いてあるのです。洋の東西を問わず,算数・数学で大切なことは,「きまりを見つける」事なんだと,再認識できました。
コーエン先生のこの本は,いきなり,無限級数の話から始まります。かなり,くじけそうになりますが,これがわかりやすいのです。大筋の考え方が,読み進めていると分かってきます。
個人的に,ちょっと嬉しかったのは,所々に出てくるベーシックのプログラムを,ディレクターだったら,こう書くのかなと,プログラム言語変換ができたことです。ですので,事例として示されているいくつかを,いつの日にか,ソフトとして作ってみるのも楽しいだろうなと思いました。
城ヶ崎先生や佐々木先生と話している算数ソフトの授業も,算数的きまりを子どもが見つけ出していく授業なのです。どんどん理解できるのは,「決まりを自分で見いだしている」からなのだと,強く感じます。
ここから,一歩踏み出すこともできそうです。ソフトできまり見つけに慣れた子は,「算数の問題を見たとき,パターンを見いだそうとする子に育つのではないか」と,コーエン先生の本を読んで思いました。
算数ソフトを使った授業を通して,たくさんの研究が出来そうです。嬉しい限りです。