野口芳宏先生の講義を何度も授業していると,「公」と「私」という考え方が滲み込んできます。
講義を拝聴していて,繰り返されるのが,次の2つです。
「私」が強くなると,我が儘になります。
「公」が強くなると,しっかりした人になります。
当たり前のことですが,言われ続けて,なるほどと滲みてきます。
そこで,この野口先生の教えを算数的な図で表してみました。
それが,「公私の分数」です。
分子の「私」が小さく,
分母の「公」が大きい。
この状態を,算数では「真分数」と言います。
「真(まこと)」の分数です。
逆に,分子が大きく,分母が小さい状態を,日常では「わがまま」と言います。
算数的には「仮分数」です。
「仮分数」という見方をすると,自然に「仮(かり)」の姿なんだという思いを与えてくれます。
わがままな子は,恒常的にわがままなのではなく,たまたま「私」が大きくなっているのが続いているのだと見なせます。こう思うと,何かしらの施しようがでてきます。
「公」を大きくするのに有効なのは,子ども達を惹きつける授業をすることです。
「先生,私にもやらせて」と思わせる授業をすることです。
なぜでしょう。
それは,「私もやらせて」と思ったとき,自動的に「公」が子どもの心に広がるからです。
ちゃんとしてないと,先生が自分を指してくれないことを知っているので,「公」を自ら大きくしてくるのです。
「公」の自覚させる良いチャンスになっています。
算数ソフトを使うと,「私にやらせて状態」はすぐに巻き起こります。
ですので,ちょっとした行儀作法の指導を入れると,真分数の子を育てる方向へも道が伸びていきます。