静岡市に続いて,信州の松本地方の方言が載っていました。
  小学生に関する方言もあるので,それを書きましょう。
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  こども       ボヾサ
  乱暴する子供  ガツタ
  悪き子供     タンコ
  綺麗の子     ウツイ子
  子供仲間にてはお前と云う事  ワレシヤヱ
  木へ登る     ハチヤガル
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  子供の頃,けんかした相手に「オタンコナス」と言ったことがありますが,これと「タンコ」は通じている様に思えます。
  「ウツイ子」というのは,美しい子という言葉なのでしょうか。「ウツケ」ではなさそうです。
 
  面白いなと思うことは,良い子の方言より,悪い子の方言の方が多いことです。悪さに対しては,発作的に言葉が出るから,語彙も自然と少し多くなるのだろうと思います。

  明治20年の頃の信州,松本地方の方言。今はもう誰も使っていないと思います。
  方言が東京風に染まっていった背景には,人の交流があります。鉄道網に代表される交通機関の発達が大きな影響を与えています。
  それとは別に,明治政府が「標準語」の使用を求めたことも大きな原動力になっています。とくに,新聞や教科書が標準語一色になり,学校からも標準語が広がっていきました。
  そうして,ラジオの発達。テレビの広がりです。
  
  時代はすすみ,今では方言を大切にする風潮になっています。一度滅びた言葉が元に戻ることはありませんが,おらが国の言葉を大切にする流れは,とても良い方向となります。世界の中で日本の風を大切にする流れにもつながるからです。