『日本語小文典』は良いです。

400年前の日本の言葉,発音がびっちりと記されています。
しかも,その言葉は「公家・武家」階級の言葉です。
なかなか知り得ない世界の言葉が記録として載っているのがこの本です。

読んでいて惹かれたのは,公家・武家での美しい言葉遣いです。
例えば,下のように記されています。
「二つの否定によって肯定を表すと,非常に美しい表現となる」

二重否定は論文では嫌われる表現です。
しかし,日本人の語感として,美しさを感じさせる表現だったのです。
400年も前から美しさが込められており,今も日常の中で自然に使われています。
と言うことは,二重否定の表現を美しいと感じるのは日本人の語感なのだと言えます。

そんな思いをあれこれ沸き立ててくれます。

この本を記したのは,日本人ではなくポルトガルのロドリゲスさんです。
外国の方が日本語について,岩波文庫で上下2巻になる大作を書いたのです。
さらに,驚くのはタイトルに「小文典」とあるように,この本の元になっている「大文典」があるのです。
なんという頭の持ち主なんでしょう,ロドリゲスさんは。

伊能忠敬の地図製作に感動した事がありますが,このロドリゲスさんの仕事から大きな感動を受けています。
ロドリゲスさんや伊能忠敬さんに,「キミもやるね」と言ってもらえるように,ソフト開発を多いに進めたいと思います。