【横山験也のちょっと一休み】№.3611

戦前の尋常小学校2年生の国語の教科書に、柿の木の話が載っています。

私のうちには柿の木があります。しぶ柿が3本、あま柿が2本、その中に私の木が1本あります。あま柿です。」(一部、変更していますが・・・)

この話に、「私のうちには柿の木は何本ありますか」と問いを立てたら、これは面白い問題になるなぁと感じました。

ざざっと読んだ子は「3+2+1=6」とやってしまいそうです。
このように式を書いた子は、教育について論じている本によると読解力が無いことになります。まあ、そういうことだとしたら、何が読めていないのかが気になります。常識的に見て、「その中に」を読み落としている、あるいは軽視しているとなります。

では、「その中に」を読み落とした子は読解力が無いのでしょうか。この子には「その中に」という言葉の意味を理解する力が無いのでしょうか。そんなことはありません。「その中に」程度の言葉は理解できます。

私の親友の教育哲学者の諸野脇氏は、「文章題ができない=読解力不足」と短絡的には考えません。もう少し違う角度で考えるので、ここは「注意散漫」と答えるでしょう。私も同様に思います。

では、「注意深く読んで、間違えずに答えましょう」と言えば良いのかと言うと、そうでもありません。その程度では「注意散漫」は消え失せません。

注意散漫は「考える脳」が居眠りしている状態なのです。「直感の脳」だけで取り組んいる状態です。居眠り中の「考える脳」を起こすには相応の刺激が必要です。
ここは「一発君」の出番です。
一発で正しい式と答を書いていたら、そのノートに「一発!」と書いてあげあるのです。その時、先生が大きめの声で「一発!」と言うようにします。とってもシンプルなのですが、子ども達には、かなり大きな刺激になります。

この一発君の体験をすると、注意散漫はかなり減ります。「ようし、慎重にやろう」などと、自分で「考える脳」を起こすようになるからです。また、素早い解答が良いことではなく、遅くても慎重に行い一回で正しい解答をすることに価値があると伝わっているからです。

下の3冊の本には「一発君」は出てきませんが、楽しい算数のアイディア教材が満載されています。「一発君」のもう少し詳しい話は、今月開いた「夢中で算数チャンネル」の動画にいずれ出てきます。「一発君」が気になる小学校の先生、ぜひ、御登録ください。<こちら>です。