【横山験也のちょっと一休み】№.2799

75×54のような筆算ですが、私たちが普通にやっている筆算とは違う筆算が世の中にはあります。

その一つが左のやり方です。

ジッと見ていくと、少しずつ謎が解けてきます。
そうして、「なるほど!」とスッキリ感に達します。

筆算が確実にできるようになっている子ども達に、こういうのを見せると、やり方がわかる所でとどまらず、頭に火が付く子がでてきます。
他の数字でもたしかめてみたい!
たしかめてみれば、当然、「あぁ、できる!」と心が湧きたちます。

発火点の低い子、子どもの頃の私ですね、そういう子は、さらに頭が先に進みます。
「きっと、他にも違うひっ算があるはずだ!!」
口にこそ出しませんが、見つけてやるぞという意気込みがメラメラと燃え上がってきます。

1つだけ示されていると、そういうものだと納得しておしまいになるのですが、2つあるとなると、それに対する頭の余力にもよりますが、もっとあるのではないかと頭が動き出します。
私は、因数分解でこの手の方向にはまり、友達と2人で1か月ぐらい、スーパー因数分解があるはずと考え込んでいました。

この筆算、私が思いついたやり方ではありません。
15世紀のヨーロッパやインドで普通に使われていた筆算です。
算数好きで本をよく読んでいる先生はご存知だと思います。
名称は「格子掛け算」です。

この格子掛け算。
なかなか立派なところがあります。

掛け算をする段階での、繰り上がりの数の足し算がありません。
かけ算の答えをそのまま書いていけばいいのです。
ですので、九九がしっかりできていれば、チャッチャカ書き込めます。
これは、楽です。

くり上がりを小さい数字で書いて、書いたがために、足し算の時にも足してしまったり・・・
今のひっ算、実に素早くできるのですが、その分、ちょっと負担の度合いも高くなっています。

でも、格子掛け算は衰退しました。
今は、格子掛け算で筆算をしている人は、一人もいないと思います。
絶滅筆算と言えます。

なぜ、絶滅したのでしょう。
そんなことを考えるのも、算数の楽しさの一つです。

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