【横山験也のちょっと一休み】№.3624

家にある戦前の算数の教科書を久しぶりに開きました。
緑表紙と言われていた教科書の1年用です。

久々に開いたこともあり、あれこれハッとすることに出会いました。
その一つが、「数」という漢字の読み方です。

若いころから全国の先生方と交流をしていたので、いろいろな地方の先生方と語り合ってきました。

ある時、私が、「数を答える」というような言葉を発したとき「数」を「かず」と言って話しました。
すると、関西か北陸方面の先生が、「すう」というのではないか、「すうを答える」ではないか、というように、読み方は「すう」ですよ、と教えてくれたのです。

「はて、そうか」と思ったのですが、絶対に「かず」であるとも言えずに「私はかずと言っています」とぼやかしたことがありました。

そんなやり取りを思い出させてくれたのが、緑表紙の教科書でした。
ご覧のように「カズ」と記されています。

ですから、古くから「かず」と言っていたことがわかります。
しかしながら、どちらで言おうとも、「数」という漢字に集約され、意味も同じなのですから、言いやすい方で言うのが一番です。そこに、歴史的には「かず」だったことを押さえていれば、完璧ですね。

上のコピーをよく見ると、教科書での横書きの句読点(,。)がこの時代から形づいていたこともわかります。
また、当時は、英語風に行替えの所での単語のつながりを示す記号「=」が使われていたこともわかります。もちろん、今は使われていません。

古い本は面白い感動を与えてくれます。
こういう情報は記されていませんが、下の3冊は私が書いた面白い算数の本です。