【横山験也のちょっと一休み】№.3794

昨日の台形の面積の話の続きです。

北海道の福嶋顕勝先生から、素敵な感想をいただきました。
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いつも、算数の刺激的なお話をありがとうございます。
「両底の和」というのは、面白い表現ですね。なんだか算数的なロマンを感じます。
台形の面積を求める言葉の式ですが、私は、
(下底の長さ+上底の長さ)×高さ÷2の方がしっくりきます。
※長さという言葉を入れるのは、単位を含めた式にしたいからです。
台形をひっくり返したものを右横に付けて平行四辺形にするのであれば、「底辺の長さ」の部分は、「下底の長さ+上底の長さ」の順になります。
昔から不思議に思っていた公式の言葉の順番でした。
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福嶋先生は次元解析という考え方で、子どもたちの算数力をグイグイと向上させています。
式を書くときには、単位も書いて考える」というのが、福嶋先生の次元解析の基本です。
単位を書くことによって、筋道が明確になるだけでなく、問題文と式との照合が自然と行われます。

その福嶋先生が台形の公式として、「下底の長さ」と「長さ」まで明示して導いています。長さの単位で考えるのですよ!と用語が子どもたちに語り掛けます。これは、素晴らしいです。しかも、論理的です。

公式で使われている「下底」は、意識が不足すると、単なる名称となります。この図形のこの部分の線分を「下底」と呼んでいるだけとなってしまいます。先生方は「下底の長さ」が省略されていると認識しても、子どもたちの中にはそれが抜ける子もいます。
抜けてしまった子にとって、「下底」という言葉は、単位を呼び寄せる力がありません。
単位は尺度です。それを日本語では「広さ」「高さ」「長さ」「重さ」などと、「〇〇さ」と呼んできました。それを生かして、福嶋先生は、「長さ」を加えています。それにより、「ここからここまでの長さと、ここからここまでの長さをたす」ということが、明確に伝わります。台形の面性を求めるときには、「2つの長さを足す」という例外的な手法を用いるため、より一層、長さを明確にすることが大切なのだと、福嶋先生の感想から伝わります。いいですね。

また、もう1点。
「下底の長さ+上底の長さ」。これも鋭い指摘です。

台形の底辺と言えば、下の辺なので「下底」となります。
この「下底」に、回転移動してやってきた「上底」がつながるのですから、説明の流れとしては、「下底+上底」となります。

ところが、公式は「上底+下底」です。
自然な流れを公式化するときに、熟語としての「上下」が圧を与えたのでしょう。
上から下と表記するのが日本!
というような思いがあったのでしょう。

私が「なるほどなぁ」と感心するところは、子どもたちに説明をした下底→上底の順に合わせて、公式の方を許せる範囲で変更していることです。これはなかなかできないことです。「教科書通りに教えなくては」という任務が頭の中を覆っているからです。福嶋先生は、その任務を遂行するにあたり、より的確に学べるようにと、公式に手を加えています。並々ならぬ力量を感じます。

また、「説明→説明にフィットする公式→公式」このような流れも見えてきます。
福嶋先生の示した公式と、教科書の公式。この2つの見比べは子どもたちに任せているのでしょうね。そうして、子どもたちに感想を聞いて、子どもたちの豊かな発想を楽しんでいるように思えます。

昭和15年の算術の本の一コマから、思わぬ思考の広がりを得ることができました。実に楽しいひと時となりました。

下は、算数の授業のアイディアを満載した、ちょっと面白い本です。
是非、お読みいただけたらと願っています。