【横山験也のちょっと一休み】№.3622

珍しく、戦前の教育に関する問い合わせをいただき、その関連で、ふと思い出しことがありました。
論語関連の本だったと思います。著者のお父様が学校の先生をされていて、所見辞典を開くことで、子どもへの言葉を学ぶことができ、とても重宝していたというようなことが書いてありました。

その本を読んだ時以来、時折、日本の古本屋などで調べていたのですが、これが全く見つかりません。
今回も、見つからないだろうと思ったのですが、もしかしたらと思い、調べてみました。すると、偶然にも1冊出ていました。ここで見逃すと、この次に発見するのは5年後10年後かもと思い、さっそく注文しました。

手元に届いて開いてみたら、これは確かにいい本です。
所見の範囲は、今よりはるかに広く、家庭での出来事なども記していました。

・命ぜられたる事以上をなさんと常に努力す。
・老祖母と二人生活し、よく祖母につかえ孝養を怠る事なし。
・快活にして初対面の人にも親愛の情を示す。

言葉がいいですよね。高尚に感じます。
子ども達に少し高尚な言葉を使うと、何とは無く良い方向に流れが生じる感じになります。

「山ちゃんは命ぜられたこと以上に努力するね」などと声を掛けられたら、山ちゃんは有頂天になるでしょうね。

お母さんのお手伝いの話を聞いたら、「親孝行だね」と言うこともありますが、「孝養」という聞き慣れない言葉を使ってみるのもいいですね。そうそう、親友の城ケ崎先生はまさに「孝養を怠る事なし」です。

休み時間に子ども達と愉快に話したとき、「今、親愛の情を感じたよ」とでも言ってみると、子どもはどう思うでしょうね。

この戦前の所見ですが、フェイスブックとXに「一日一善」ではありませんが、「一日一所見」として、書いていこうと思っています。
FBやXもぜひご覧ください。

所見辞典と言えば、山中伸之先生の『所見辞典』がお薦めです。