式の話です。

  4+3=7

  この式の読み方は2種類あります。

  A : 4たす3は7
  B : 4と3を合わせると,7になる。(7と等しくなる)

  
ABに若干の違いがあります。
  Aの読み方は誰もが同じです。しかし,Bは人によって多少言い回しが変わります。

  こういうABの読み方を持つ文は他にもあります。身近なのは英語です。
  I love you.
  A : アイラブユー
  B : 私(おいら)はあなたが好き。(愛している)
  
  Aの読み方は誰もが同じですが,Bは状況によって多彩です。

  どうして,「式」と「英文」が同じ構図になっているのでしょうか。もともと,式は西洋から入ってきた書き方なのです。西洋の言葉の文法に則って記されている,一種の文なのです。
  英語で「4 and 3 are 7」とか「4 plus 3 equals 7」という言い回しが,そのまま「4+3=7」になったのです。
  
  つまり,Bは西洋文法の式を,日本語に翻訳して言い直しているのです。

  と,このように書いても,今ひとつわかりにくいですね。
  私たちは,英語と文法の似た漢文を勉強してきています。漢文はそのままでは読みづらいので,返り点をつけて読みやすくしてきたことを,高校で学んできました。
  漢文の返り点を使って式を書いてみます。AとBの関係が見えてきます。

  式に出てくる文字の順番を入れ替えて読んでいるのが,Bなのです。

  「式は日本語に帰化した西洋の文」なのです。「3」や「4」などの算用数字も明治になって広まった外来の文字です。外来の文字を使った式は,さらに西洋文法の形を保ったまま,日本に吸収され,今や完全に帰化しました。
  ですから,式を見てもその文字の配列に違和感を感じる人はいません。私も違和感を感じません。すっかり帰化した状態で学んできたからです。

  大人に違和感が無くても,学びはじめの子ども達の中には,違和感を感じる子がいます。式の文字配列は,子どもにとって普通の文の書き方と違いすぎ,面食らうからです。これは,分数を下から上に書くのと似ています。3年生ですら,分数の習い始めに,分母を上に書いてしまう子もいます。分数より複雑な文字配列の式です。1年生の式の学習には,ちょっと工夫が必要となります。