算数にも記号や用語が出てくるので,その筋の本は少しだけ持っていました。この本のことは知らなかったのですが,別の本を読んでいたら紹介されていて,読んでみたくなりました。

  算数好きの方より,数学好きの方にグッドな本です。
  でも,「算数小話」なんて本を書きたいと思っている先生は,確実に必読です。
  この本の後書きにも書いてありますが,戦後,数学の用語を初めて形にしたのが片野善一郎先生です。数学用語・記号の第一人者です。

   この本には,歴史的な数学書が多数紹介されています。今でも探せば出てきそうな本もあります。何とか入手できそうかなと思うと,心が少し動きます。手に入れたい本のリストを作りました。その中の1冊が見つかったので,さっそく古本屋に注文しました。そうして,いつか,今見つけられない本を見つけて,読んでみたいと思います。

  響いたところを1つ書きましょう。
  負の数を中学1年で学びますよね。13歳です。でも,この負の数が数学者の間で完全に理解されるようになったのは,デカルトが数を線分に置き換えられてからですと,書かれています。

  17世紀の数学者がやっとわかったことが,20世紀には13歳の子がささっと理解しています。これは,驚異的な脳の進化です。

  脳のどこが刺激され,脳がどう変化するかなど,大脳生理学などの研究が進んでいます。ありがたいことです。
  そういう研究が全くされていなかったときに,デカルトが数を線分で表す発明をしました。それを見ることで,数学者の脳が理解を始め,座標の概念も把握され,虚数の概念も生まれ,学者から一般学生まで理解できるところまで脳が進化したのです。負の数程度は,13歳の子が理解をしていきます。
  つまり,人間の脳は,この年齢ならこのぐらいまでだね,などと上限をもうけたり,平均値で考えたりする必要は全くないのです。わかりやすい見せ方が発明発見創出されれば,それで人間の方が理解を進めていこうとし,時を経て脳が進化するのです。
  脳の進化を進めることは,医学の大先生でなくても出来ることなのです。デカルトすればいいのです! 

  算数・数学は「動きを見せること」。これが,算数・数学の理解を容易にすることになり,時とともに,人々の脳が発達するのだと私は考えています。算数のソフト開発で私もデカルトしています。