10年ほど前に,話題となった本『分数ができない大学生』です。

10年前にも,指導要領が改訂になり,学力低下がひたひたと歩み寄っていた頃です。
生活科などもまだ元気だった頃です。

もっと算数・数学の力を!と打ち出したこの本は,タイトルが実に衝撃的で,日本国中に「こりゃ,いかん!」という思いが走りました。
その本が,10年目にして新版になったので読んでみました。

算数・数学ができない学生が増えていることの報告が著者の先生方から次々に示されています。
その現状を何とかするために,数学の必要性や重要性,知っていると得をするということも示されています。

こういう大きな文脈の話しも面白いのですが,この本は随所に「ああ,いいね!」と思えることが書かれています。
そんなかで,私が感じ入ったのは,次のような言葉です。
◆ 数学は,一つ事を学ぶと,それ以前に学んだ初等的な内容の理解を確実にする。
当たり前と言えば,あまりにも当たり前のことです。
でも,これがなかなか見えないのです。

先日,5年生の立体のソフトが話題になりました。
立体をドラッグして動かすと,立体の重なりの様子が見えます。
それを見て,子ども達の中には,1cm3の立体が何個あるか数える子が出てきます。
何段にもなっているので,それはかけ算で・・となります。
こういう学習をしているときに,「立体の体積について理解できたか」という事の他に,「立体以前に学んだ何かを確実にしている」という視点を持つと,実に豊かな学習をしていると分かります。
算数って,素晴らしいと感じてきます。