【横山験也のちょっと一休み】№.3279

坪内逍遥が書いた『国語読本 尋常小学校用』(冨山房)を、少し読んでみました。
巻2と巻8を読んだのですが、文章が違いますね。

じろーさんが、あんなとりをこしらへました。
あれ、また、
たろーさんが、あのよーなとりこしをこしらへました。
やー、たろーさんのかほが、おほきくうつった。
をかしい。をかしい。

影絵をしている挿絵があり、それを見ながらの読みもので、読むと引き込まれます。

「うまいなぁ」と感じるお話を、自分で読んで楽しめれば、国語の基礎がしっかり出来上がりますね。

『国語読本 尋常小学校用』は明治33年に発行され、その後、昭和14年に復刻版が出ています。
私の手元にあるのは、復刻版です。
ずいぶん昔に購入して、本棚に眠っていました。
作家が小学生向けに描いたお話であることが、急に気になり、先ほどちょっと読んだ次第です。

この本は手のひらに載るほどの小さいサイズです。
確か、豆本と呼ばれていたサイズです。
今でいえば、文庫本です。

着物を着ていた当時の子ども達が、袖に入れて、ちょっとした時間に読んでいたように思います。

8巻には、「外套(がいとう)」の文字が出ていました。
以前、若い先生に「外套」と話したら、「知らない」と返されたことがあります。
今や使われなくなった「外套」ですが、かつては小学生の読む本の中に載っていました。
歴史の流れに感動しています。

国語教育といえば、野口芳宏先生です。
今週末にご自宅へ伺う機会に恵まれています。
野口先生のさりげない話に、国語の深みを味わえるので、楽しみです。

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