立腰(姿勢)を意識するようにクラス実践されている先生から,とても嬉しい便りが届きました。

姿勢の悪かった女の子達が,話す人の目を見てじっと聴けるようになったそうです。いいですね。

また,クラス全体としても,学力向上の手応えを感じているそうです。有り難い事です。

腰骨を立てる「立腰」を意識させたら,クラスが良い方向へ歩み始めたのです。
良い姿勢で授業をするだけのことですが,それで落ち着き,落ち着くので学力が上がるのです。
何とも簡単で,日本人らしくて,こういう方向性,いいですよね。

私が大事だなと思う事は,「姿勢(立腰)を意識するようになると,子ども達は落ち着く事を覚える」ということです。

何しろ,良く動くのが子どもです。じっとしていろ!と言っても,目を離すと直ぐに動き出します。
「廊下は静かに歩く」と言っても,走り出します。
勝手に動き出しているとしか思えないのが子ども達です。
心臓の鼓動が速いからと言われれば,そうなのかと思えます。
だから,落ち着かないはやむを得ないのかもしれません。

しかしながら,「教育身体学」(という学問があるだろうと思いつつ・・)的には,落ち着きがないというのは,単純に「じっとしている学習の不足」ととらえます。「ビタミンじっと」不足です。
不足があれば補います。練習をすれば良いだけのことです。

では,「じっとしてる学習」をするには,どうしたらいいのでしょう。

「良い姿勢をしましょう」と言い続ければ良いかというと,そうもいきません。子どもは動き出します。
なぜでしょう。
それは,体を固定する部位が伝わらないからです。

部位を固定するという「技」無くしては,じっとしているという「動き」は作れません。
「じっとする」というのは,「“動かない”という動き」なので,技として「部位をどうするのか」 を伝える事が基本となります。

「立腰」の優れている点は,その美しさもありますが,部位としての「腰を立る」ということを「技」として示している事です。
腰にスポットを当てて座るのですから,腰を動かすわけにはいかなくなります。
自然,腰が動かなくなり,じっとしている状態が長続きするようになります。

じっとしている姿の究極といえば,座禅があります。
腰を据えて座ります。その時,同時に,足を組み,手も組み,その形から入ります。
落ち着かざるを得ない姿勢をまず学びます。

落ち着きのない子は,手も足も動きます。
ですので,腰と同様に,手は用のない時にどこに置いておくのがよいのか。
足はどうしているのがよいのか。
「部位の形」を知識として持たせ,それを実行させることが肝要です。
教えれば,子どもにも分かります。

「じっとしている」状態を子どもが作れるようになれば,体の落ち着きが,心に広がります。
勉強への集中も高まり,学力向上へとつながっていくです。

野口芳宏先生の新刊が10月5日に発売となります。
『授業づくりの教科書 国語科授業の教科書』です。
野口先生が立腰のお話しをされるとき,必ず出てくるのが森信三先生の教えです。
野口先生からも,森先生から多いに立腰を学んで欲しいと願います。