鈴木先生とお会いしたとき,1つのスタンプを見せていただきました。
そのスタンプは,「一発君」です。

このスタンプがもらえると,子ども達は大喜びをします。
何しろ,このスタンプ,おいそれとは押してもらえません。
「よほど」の事がないと,押してもらえないのです。

どんなときに,その「よほど」が起こるかというと,「一発でできたとき」 です。
何事にも,素早くやる子がいます。
ノートへの取り組みをさせれば,アッと言う間に仕上げて,「先生,できました! 」となります。
先生は赤ペンでマルやらペケやらをつけます。
早く仕上げる子は,心が急ぐあまり,ちょっとしたところでミスをします。
そこを直して,めでたしめでたしとなります。

でも,この子は,「一発君」スタンプを押してもらえません。
一発で,ミス無く仕上げることが出来なかったからです。

仕上がりには,少し時間のかかる子もクラスにはいます。
落ち着いているので,あまりミスはありません。
概して,一回でOKとなります。
その時です。鈴木先生の手は,「一発君」スタンプに伸びます。
そうして,“ポン!”
赤い,立派な「一発君」が,落ち着いて慎重に取り組んだ子のノートにしっかりと押されます。

早くやり終えた子がもらえず,遅くてもしっかり行えた子がもらえます。
担任の先生が求めている心が,クラスに伝わります。

学校の学習にスピードはつきものです。
早くやることを躾けることも大切です。
だらだらとした心を,ピンと緊張させ,意欲が向上します。
また,鈴木先生のように,落ち着いて慎重に取り組むことも大切な指導となります。
「落ち着きましょう」と,何度言っても,クラス全体は自然と急ぎ足の空気を持っています。
少しばかり,むなしい指導となりかねません。
そんなとき,一発君のような「心の栄養グッズ」が力を発揮します。
落ち着いて取り組むことも,クラスの空気になっていきます。

鈴木先生の「一発君」スタンプをお借りし,私の手帳にポンと一押しさせていただきました。
私も,落ち着く心,慎重に行う心がどこかに行ってしまわないように,心がけましょう。