小学校で習うグラフは,昨年度までは次の4つでした。
  
    棒グラフ
    折れ線グラフ
    帯グラフ
    円グラフ

  これに,新しく今年度から次のグラフが登場します。

    柱状グラフ

  昔の算数に登場していた「柱状グラフ」が帰ってきたのです。

  合計5つのグラフを学ぶのですが,それぞれの特徴をざっくりと把握していると,指導の味が少し変わってきます。
  棒グラフは,多い少ないがわかりやすいグラフです。
  折れ線グラフは,変化がわかりやすいグラフです。
  帯・円グラフは,全体のどれくらいかという割合がわかりやすいグラフです。
  そうして,柱状グラフです。
  これは,いったい何がわかりやすいのでしょう。

  こういうグラフの特徴がわかると,調べたことをグラフ化する時,どのグラフで表したら効果的かがわかります。伝わりやすい「見せ方」ができるのです。
  たとえば,「お小遣い」をテーマにしても,どのグラフが良いか,状況によって決まってきます。
  友達との違いを見るなら,棒グラフです。
  小さいときからのお小遣いの推移なら,折れ線グラフです。
  今月のお小遣いを何にどれだけ使ったかなら,帯や円グラフです。
  グラフ選びは,伝え方技術の一つなのです。

  小学校の授業では,グラフを選んで伝え方を考える所まで進みませんが,社会などとの関連でグラフ化したい時に,こういった算数の考えが役に立ちます。

  柱状グラフ。これは,「さくら算数ソフト」6年5巻に入っています。
  
  右のソフトは,表から柱状グラフに変換するところを学ぶソフトです。上の表とグラフがお手本で,下は実際にマウス操作で柱状グラフの「柱」づくりが出来るようになっています。
  もちろん,クリックすれば,何回でも繰り返し勉強できます。

  柱状グラフで難しいのは,柱の「範囲」にどのデータが入るか,というところです。そこの所もソフトには収録されているので,動きを見れば,「なるほど!」がやってきます。

  一つ一つの柱に入っている人数を高さで示すことで,「分布」が分かりやすくなります。身近なところでは,テストの点数も,10点刻みで範囲をもうけ,その中に何人はいるかを柱状グラフにすると,そのテストの傾向が見えてきます。
  
  グラフとして学ぶのは5種類なのですが,実は,数直線もグラフの一種です。文章問題に出てくるテープ図や線分図もグラフの一種といえます。数を配置することで,見えやすく,わかりやすくしているのです。テープ図や線分図を文章題で用いるのは,数を配置することにより,どういう計算になるかを考える思考の場所にしているのです。このあたりのことについては,文章題の話題の折りに書いていきます。

  
   日常の指導も,グラフのように「見える」ようにすることで,伝わりが良くなります。

  「あなたの話の中身が見えてきた」「君の話はよく見えない」という言葉から始まっているのが左の山本正実先生の『伝わる伝わる見える指導』です。

  指導のキーワードは「見える」
  具体的な物とつながると「見える」
  指導力も伸ばす「見える」指導

と,グッと来る話が書いてあります。

  私が算数のソフトを作り続けているのも,この「見える」の考え方の流れに乗っています。
  ソフトでは,算数の動きが「見える」から,伝わる指導になるのです。