横山験也のちょっと一休み】№.3821

電車に乗り、いつものように空いている席に座りました。この日は、カバンの中から『意思決定の心理学』を取り出し、何度目かの読みを楽しみました。読書の面白さは、書いてあることからの情報もありますが、そこから誘発されてくる奇妙な思い付きにふけることにもあります。

この日は、「一発君」が出てきました。一発君をどうやってアプリで実現するか、そんな課題も付属しています。すぐに、これは余白に書くことではないと思い、カバンの中からメモ用紙を取り出し、そこに書き込みました。

真っ先に書いたのは、一発君をスタンプのようにペタンと押すことです。実際の一発君で、最も強い効果を与えたのは2つ。一つは、私が大きな声で「いっぱーつっ!」ということです。君は一発で全問正答したよ!という意味です。もう一つは、特製の青の一発ボールペンで「一発!」とアンダーライン付きで書くことです。特製と言ってもちょっと飾りを付けた程度のボールペンですが。

この2つが強烈に一発の大切さを子ども達に伝えてくれます。特に、ボールペンの方は、書かれた子が嬉しそうにそれを見ながら席に向かいます。それと同様の効果をアプリで行うのは難しいです。が、気持ち程度なら何とかなりそうと思え、それが一発スタンプへと発想が進みました。

このような思い付きに至ったことには、相応の原因があります。数日前に届いた諸野脇さんからのメールです。そこに「一発君」のことが書いてあったのです。あのネット哲学者の諸野脇さんが一発君の教育効果を原理的に認めています。これだけでも頭には一発君がベタッと張り付いている感じになっていました。

メモ用紙には一発スタンプがたくさん貼られている様子をササっと描きました。実際の授業ではドリル1ページ分につき1つの一発君ですが、対象となっているアプリは特別支援向けです。20問終わってから一発と言われても、それがどういう意味かはストンとはわからないでしょう。最もわかりやすいのは1問ごとに一発君が登場することです。そう思い、20個の一発君を並べて描きました。なかなかいい。10個で改行したら、算数的にもさらにいい。もし、20問中15問一発でできたら、15個一発スタンプが並ぶことになります。すると、余白が5個分あるので、もう少し頑張ろうという気持ちにもなるでしょう。そう思っていたら、それより、相撲の星取表のように一発の時はスタンプが出て、ダメだった時は空白とするとどうなるかと思いつきました。これなら、一発が何回連続だったかもわかり、より一発でできるようにしようと思うに違いない。かなりいい感じでです。

また、別の角度からのアイディアもわいてきました。ただの文字の一発もいいが、できれば桃太郎のようなノボリに一発と書いたら感じがさらに良くなるだろう。いや、それなら戊辰戦争の錦の御旗タイプの方が重層感がでる。ワクワクしながら、家で生成AIにノボリタイプで一発君を描いてもらいました。すると、どうしたことか、AIは途中で暴走してしまい作ってくれません。ううむ、これは関わらない方がよいと思い、アフィニティで簡単なテキスト画像を作り、そこにcssで装飾をすることで、アプリに一発君を入れ込みました。結果はいかに? アプリを動かしたら違和感が走りました。少し考えたら、これは全くダメとわかり、こんなのを作ったら本末転倒となるとすら思えてきました。

小学校の先生をしていた頃から教材を作ることが好きで、教科書をじっと見て、ハッと閃いた教材を模造紙などに描いて、少しの細工をして仕上げていました。しかし、教材作り直前までに思っていた内容は、今一つのダメさ加減を含んでいることもありました。そういう時は、作り直しです。机上のひらめきがそのまま通じることもありますが、実際に作ってみるとダメとなることもあります。今回の一発君はダメでした。しかも、かなり重症ダメでした。

アプリを作って感じたことは、子どもの意識が一発に振られすぎることでした。特に、ダメなのは一発が増えることを喜ぶ思いが湧いてくることです。この一見よさそうな心情が全くダメとなりました。なぜでしょう。

たくさんの数が出てくるこの一発は、点数と同じなのです。17個だったとか20個だったとなり、一発スタンプの意味から遠ざかる仕組みを内包していたのです。良かれと思い複数並べたら、そこに数が自動的に発生し、数に注目するようになっていたのです。

さて、どうするか。しばしの長考となりました。小学校1年生の時、二重丸や三重丸より劇的にうれしかったのは花丸でした。それが2年生3年生になると、枝丸という花の下に枝がついている花丸が登場し、一段高い花丸と位置付けられていました。こんな花丸があるのかと驚いていたら、さらにすすみ、植木鉢付き花丸が登場したり、蝶々付き花丸もありました。もう、百花繚乱状態です。これらの花丸も、構造的には点数に近いものがあります。花丸のレベルが大事なんだということに意識が向くからです。一発君のような意味内容の大事さとは程遠い存在です。さてさて、どうしたものでしょうか。

一発君や花丸の話は載っていませんが、下の3冊の本には、楽しいアイディア教材がたくさん載っています。