【横山験也のちょっと一休み】№.3433

1年生の算数で「なんばんめ」を習います。
例えば、下のように〇が並んでいて、その中の一つ(●)は、「まえから なんばんめでしょう」というような勉強です。

まえ 〇〇〇●〇〇 うしろ

もちろん、答えは「まえから4ばんめ」となります。

「なんばんめ」という学習は、若いころから「数直線の基礎となる」と感じていて、左端から1,2,3と数えることや、下から上に1,2,3と数えることは、特に重要と思っていました。なぜなら、それが正の整数での座標の読み方につながるからです。

ところが、「なんばんめ」では、「右から何番目」も勉強しますし、「上から何番目」「前から何番目」「後ろから何番目」も勉強します。多分に、生活感に引っ張られて、そこも教えなければならないのだろうと思っていました。特に、「上から」「下から」で、「下から」だけを扱ったら日本人の感覚として不自然さを感じます。「なんで、上からは無いの?」と突っ込まれそうで、どうしても「上から」は必要となってきます。
まあ、この辺りは、生活優先での扱いなのだろうと思っています。

指導要領を読むと、この「なんばんめ」は、数直線が鎮座する「数と計算」の領域ではなく、「図形」領域に入っています。そこには、「前後、左右、上下などの方向や位置についての言葉を用いて、ものの位置を表すこと。」とあります。これは、学びの先に位置している数直線とは真逆の、「あそこにあるよ」とか「そこだよ」と言った距離感を示す日常的な日本語を、数を用いた表現で表し直そうという、日常の世界から算数の世界へ飛び込ませる所の学習に位置しています。ここに気が付いて、「さすがは指導要領」と思ったものでした。それからは、「なんばんめ」という指導のやり方が少し変わりました。

(前) 犬 猫 サル トラ カマキリ あり (後ろ)

こんな風に黒板にカードを貼り出して、「サルはどこにいるかな」と尋ねると、子どもたちの口から、つい「あそこ!」とか「あれ!」と出てきます。野口芳宏先生ではありませんが「しめた」という思いで、「あれやそれも大事な言葉だけどね、数を使うようにして考えるのが算数なんだよ。数を使って言えるといいのだがなぁ。」と誘うと、子ども達はそれなりに数を使って答えてくれます。

ここまでは、非常に納得していることなのですが、なぜか「なんばんめ」の中に「なんばん」が出てきます。これにはちょっと首をかしげる思いがあるのですが、それはまた書きたくなったら書きたいと思います。


この黄色い方の本に、「なんばんめ」の楽しい教材が載っています。白い方の本には、「なんばんめ」の学習で「右から」「左から」がよくわからな子のための「左パッチン」という愉快な教え方が載っています。この2冊、面白い算数の本です。


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