【横山験也のちょっと一休み】№.2663

■ 戦前の算数:小数の呼び名 ■

ちょっと、確認したいことがあり、戦前の算数の教科書を開きました。
教師用なので、元教師にはたまらない面白さがあります。

調べたかったのは「小数」の単元についてです。
その昔に読んだとき、小数の名称は2つあり、それの自分の記憶が正しいかどうか、念のために確認をしました。

調べた結果は、正しいとわかりました。

その小数の呼び名について、せっかくですから、皆様へも御紹介します。

1未満ノ数ヲ小数、
小数ニ対シテ通常ノ数ヲ整数、
整数ト小数トヨリ成ル数ヲ帯小数トイウコトヲ授クベシ.

0.1や0.25などは小数と言い、
1や3などは整数、
整数と小数からできている1.5や3.14などは帯小数と呼ぶように教えなさいと示されています。

文末の「授クベシ」という言い回しも良いですね。
先生が先生らしい時代だったように感じます。
今は、ダメでしょうね。
「授クベシ」などとなったら、それこそ、「何様?!」となって返ってきそうです。「先生様です」とも答えられないので、こういう強い姿勢は今は昔の話になりました。

この本は大正時代の本ですので、このように強めに書くのが普通でした。先生は本当に先生様だったのです。
また、先生方の教育内容への常識がまだ定まり切っていなかった時代とも思えています。だから、この本を書いている先生の先生(師範学校で教えている先生)が、「先生、しっかり教えてくださいよ!」という願いを込めて「授クベシ」と書いているようにも感じます。

教育のノスタルジアのようなものを感じるいい本です。

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