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男の子が8人,女の子が5人います。
男の子の方が何人多いですか。
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こういう問題なら,「8人-5人」と計算すればいいですよね。

では,答えを求めるところを女の子にしたら,どうでしょう。
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男の子が8人,女の子が5人います。
女の子の方が何人少ないですか。
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このように問題が出されたら,ちょっと,心が動いてきますよね。
ほんの少しですが,「5人-8人」でもいいかなと思いたくなってきます。
でも,最初に男の子が出てきているので,やっぱり「8人-5人」だと揺れが戻る感じにもなります。

さらに,すすんで,条件の登場順を変えたらどうでしょう。
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女の子が5人,男の子が8人います。
女の子の方が何人少ないですか。
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こうなると,心はかなり動いてしまいます。
情況を考えれば考えるほど,「5人-8人=すくない3人」などとしていきたくなります。
なにしろ,「女の子の方が」と尋ねてきているので,主体となっているのは「女の子」だと強く響いてきます。
ですので,普通の感覚では,女の子の人数が基準になって,それからどうなんだとしたくなります。

でも,こういう考え方は小学校ではしません。
答えに負の数が出るからです。
負の数を学ぶのは中学校からなので,たとえ,自然体な感じがしても「5人-8人」は禁じ手となります。

こういう見方をしてくると,小学校のひき算の特徴がちょっと鮮やかさを持って見えてきます。
大きい数を基準にしてそこからどうなりますかと考えるのが,小学校のひき算の思考法だとわかるからです。

こういうことを感覚的にサッととらえて,指導に当たっているのが小学校の先生です。
ですので,優れた先生は,式を書く前に図を描きます。
丸や四角を8個分,5個分ならべ,3個の過不足を示します。
こうして,図を描くことで,問題文の持っている現実的な感覚をグッと弱めていきます。
同時に,最も重要な,「問題の持つ仕組み(2つの数の関係)」を明瞭にし,子ども達の仕組みを把握する力が高まるようにしてくれます。
そうして,押さえとして,式を書くときに「大きい方から引きましょうね」と,小学校ひき算の思考法へと導いてくれます。

小学校の先生は,本当にすごい力を持っていると,こういうところからも感じてきます。
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