【横山験也のちょっと一休み】№.2687

■ これは面白い! 瀧澤馬琴の『燕石雑志』 ■

調べたいことがフッと湧いてくることがあります。
そんな時、サッと調べられる状態にあると、気分が良いです。

昨日、唐突に、「ちくる」を調べたくなりました。
「ちく・る」という活用になるはずなので、大元の「ちく」が何なのか、気になったのです。

さすがは、『日本語大辞典』。
載っていました。
「くち(口)」の「く」と「ち」を逆にしたもの

ということは、元々「くちる」だったのが、隠語で「ちくる」となったと思えてきます。
そこで、「くちる」を調べたら、これは残念。行き止まりました。朽ちるしか出てきませんでした。

それでも気になるので、ではとばかりに、「口」はどういう意味かを調べていくと、故事類苑に面白い意味が出ていました。
〔燕石雑志 一〕物の名
口は飲食をおさむる路(みち)なれば、くひみちの略にて食路(くち)か、

これは面白い!
食い物の路と考えたのです。
これが本当かどうかというより、その妥当性の高さ、つまり、状況の合致度、言語の連結性の高さ、共々、素晴らしいです。

この面白さが、『燕石雑志』(えんせきざっし)に書いてあるとなると、気持ちは「ちくる」より、グイッと『燕石雑志』へ向かいます。
頼まれ仕事の原稿だったら、こうはなりませんが、自由気ままな調べ事は、その移り気が一つの醍醐味となります。

調べてみると、著者は『南総里見八犬伝』で有名な、かの瀧澤馬琴です。
『燕石雑志』は日本随筆大成の19巻に収録されていると分かり、本棚を探しました。
ありました。

つらつらと読んだら、桃太郎の話が出ています。
これが、また、面白い!
私の気持ちは、桃太郎へと浮き流されていきました。
(続きは、また今度)

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