【横山験也のちょっと一休み】№.3230

あけましておめでとうございます

お正月はいいですね。
人に会えば「おめでとうございます」と互いに言います。
森羅万象、何から何までめでたいのです。
こういう気持ちは、ほぼ神様や仏様の境地なのだろうと思います。いつもめでたい気持ちでいられたら、人生は楽しいでしょうね。

一月を和風で言うと「睦月(むつき)」となります。
睦月という名称を、時折、実際の日付けに使う人もいます。それを見ると、この人はできるなと感じます。
小学校の先生の中にも黒板の右端にある日付コーナーに「睦月」と書く先生もいます。きっと和語を大切にする先生なのでしょう。

この「睦月」ですが、その意味がなかなか奥ゆかしいのです。
身分の上下も、老若の違いも、男女の区別もなく、みんなでわいわいと食べて飲んで歌って遊んで…と、互いに仲睦(むつ)まじく過ごす月、「睦び月」なので、睦月と呼ばれたそうです。諸説ありますが、この説が有力で、私もこれはいい由来と思っています。(『現代こよみ読み解き事典』(柏書房)参照)
みんなが睦まじい仲になるのですから、ジェンダーの問題もパワハラの問題もいじめの問題も、あっという間に吹っ飛ばされるように思います。
それなら、お正月を普段の時にもちょっと拡張したら、とてもいい世の中になるような気がしてきます。

ことわざ辞典で「正月」を検索してみたら、良い言葉が出てきました。「耳の正月」「目の正月」です。
耳の正月というのは、「おもしろい話や快い音楽などを聞いて楽しむ」ことと、『故事俗信ことわざ大辞典』に出てきます。
目の正月も同様に「美しい物、珍しい物を見て楽しむこと」と記されています。
今風に言えば、目の保養、耳の保養に該当しますね。

面白い話を聞けば、愉快な気持ちになります。
さわやかな歌を聞けば、いい気分になります。
美しいものを見れば、なんとまあと嬉しい気持ちになり、
時に珍しいことを見れば、おやまあとわくわく気分になります。

こう思うと、日常のほんの一コマにも正月はやってくるんだよと、2つの諺が教えてくれているように思えます。
見たもの、聞いたことで、いい気分になって、みんなと仲良く過ごせたら、それは心のお正月ですね。

お正月はいいですね。

今年も皆様にとって良い年になりますよう、お祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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