【横山験也のちょっと一休み】№.2869

今日は、漢字の話を一つ。
勝ち負けの「負」について、少し記します。

「負」ですが、「まける」とか「まけ」と言う時に、この漢字が出てきます。それをずうっと見て来ているので、かなりイメージが悪いです。

勝負の前に「負け」と書いた紙を壁に張り出したら、やる気もなえます。
チームプレーだったら仲間からどやされます。
ある意味、縁起の悪さも備えているような漢字に思えています。

ところが、この漢字を漢和辞典で調べると、
——-
上部:人
下部:貝
——-
なのです。

貝は皆さんもご存知のように財産とか宝とかそういう意味を持っています。
その上に人が乗っているのが「負」です。
「まけなのに、なぜ宝が?!」

一説によると、財産や宝を守っている人を表しているとのことです。

そういえば、そんな話が徒然草にも出ています。
財産に執着すると心がやつれていくというようなことです。
話では、だから宝などに執着しない生き方が良いという道教や仏教の教えになるのですが、そこまでは私は踏み込めません。

ですので、単純に、「負けたら、そこに宝がある」と取るぐらいが分かりやすくていいかなと思っています。
また、貝の上の人は、ひざを折って四つん這いになっているようにも見え、負けてくじけている雰囲気が漂っています。

そう思うと、この漢字からの声かけが感じ取れてきます。
「負けてくじけていても、あなたの下には宝があるのですよ!」
「宝に気が付いてください!」
「負けることで得る宝があるよ!」

そうかな、と思えば、何かに気づくでしょう。
「負」は逆説的な意味の込められた、なかなか味わい深い漢字ですね。

この2冊は、社会の授業の名人と言われた有田和正先生の本です。
いい本です。

 


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